主婦の方の任意整理

　任意整理とは、裁判所を利用せずに、各債権者とそれぞれ交渉を行い、将来分の利息のカットを求めたり、分割回数を増やすことで１か月当たりの返済額を減らすことを求めたりする借金問題解決のための手法です。

　任意整理に和解が成立するか否かは、「任意」という言葉のとおり、最終的には債権者側の意思に任せられています。

　そのため、任意整理により借金の問題を解決したいと考えた場合には、相手の債権者が納得する程度の支払いを行うことができるだけの、経済力が必要となります。

　主婦の方は一般的に、フルタイムで働いている給与所得者に比べて個人としての収入が少なくなりやすい立場におかれています。

　そのため、任意整理の方針を考えるうえでも、通常の給与所得者の任意整理とは別の観点から考えなければならなくなります。

　例えば、主婦の方が完全な専業主婦で収入はまったくないのか、あるいは、兼業主婦でパートなどの個人的な収入はあるのか否かによって、取りうる選択肢が変わってきます。

　また、配偶者は借金のことを知っているのか、配偶者等の家族がどの程度任意整理の支援をしてくれるのかも重要となります。

　主婦の方が任意整理を試みる場合、最も任意整理が進めやすいのは、主婦の方自身にパート収入等の個人的な収入があり、なおかつ、配偶者の収入からも家計や返済に経済的な支援が受けられる場合です。

　この場合には、夫婦二人の収入をつかって、返済を進めていくことになるので、一番成功する確率が高くなります。

　他方で、配偶者に秘密のまま任意整理をしたいというようなケースでは、主婦の方自身の個人的な収入の範囲で返済をしなければならないため、主婦の方の収入が不十分だと任意整理の和解がまとまらない恐れがあります。

　反対に、専業主婦で収入がない場合には、配偶者からの経済的支援がないと任意整理の和解をまとめることが難しくなります。

　専業主婦で収入がなく、なおかつ、配偶者からの経済的支援もないという状況の場合には、実家の両親や兄弟などからの継続的な金銭的援助が期待できるといった稀なケースでないと任意整理は難しくなります。